書淫、或いは失われた夢の物語。




書淫、或いは失われた夢の物語。



いまは亡き、FORCEより書淫、或いは失われた夢の物語。です。
もしも中古ゲーム屋等でこのゲームを見つけた方は買いませう。



かなり考えさせられるこのゲーム。
ゲームでしか実現出来ないと思われるこのプロット思想は、
KIDのインフィニティシリーズを思い起こさせます。

このゲームのテーマは「癒し」。
ですが、それはゲーム内の登場人物に対する意味だけではなく、
プレイしているユーザーへのメタフィクション的な意味も含んでいます。

最初に入力するユーザーの名前。それこそがこの物語の真の主人公です。

最初にプレイ出来る2つの物語は主人公の作り出した精神世界。
書淫における、「N」。失われた夢の物語における「明」。
彼らはいずれも真の主人公の分身に過ぎません。

そして現実世界の話は、「4RD LOVE」のみ。
それ以外は主人公の精神世界のお話です。

事の発端は、過去。
主人公と恋人の美沙が遭難事故にあってしまったこと。
美沙は死に、そして、その肉を食らってまで生き延びてしまった主人公。
それは主人公のトラウマとなり、「書淫」「或いは失われた夢の物語」という二つの精神世界を作り、心を閉ざしてしまいました。


二つの世界は、永く主人公の贖罪と後悔の物語でしたが、
そこに精神科医である、夕香里と看護婦、日向が介入してきます。
それがこのゲームの始まり。主人公を治療し、彼女らも治療され、
二つの物語は少しずつ変化していきます。

結末は主人公の現実世界への帰還。
そこに待っていたのは夕香里。

どうしようもなく、切なく、優しいお話です。