リトルバスターズ!






Keyより待望の新作、リトルバスターズ!です。


クラナドより3年。
通常普通のメーカーさんだったら、次作品としては、
遅すぎるぐらいだったのですが、
個人的には結構早めに出たなって印象がありました。
てっきり来年ぐらいに延期するかと。。。

まあ、合間に智代アフターもありましたので、
きっちり3年というわけでもなかったですしね。
だから余計に早く感じたのかも。

今回はなんと原画家さんが2人!
いたる氏に加え、智代アフターの原画家を務めた、
Na-Ga氏が新たに参加です。

ちょうどいたる氏の絵柄が変わっていた時期だったため、
かなりの不安がありました。
両者の絵柄にはかなり差があるので、
若干違和感があるのは否めませんが、
思ったよりはショックが小さかったですねw

まあぶっちゃけNa-Ga氏のキャラの方が明らかに可愛(ry

音楽は、今回外注が多かったとのことで、
ここも不安の種だったのですが、流石の高水準。
全く問題ありませんでしたね。
まあ、クラナドに増して印象に残った曲は少なかったのですが、
「少女達の午後4時半」なんかは往年の折戸氏っぽいですし、
何より全ルートクリア後の「Little Busters!」が最高。
わかってから聞くとものすごいネタバレなんですけどねw

ではでは、シナリオ順で、感想をば。






来ヶ谷 唯湖



ちょっぴりお茶目な姉御肌。

・・・とりあえず、最初にクリアするべきキャラでなかったのは、
間違いないと思います。
正直、初見ではさっぱり意味がわかりませんでした。
「リトルバスターズ!」の世界構造を理解する前では、
無理もないと思うんですが・・・。
思ったより姉御が可愛いキャラだったので良しとしましょうw
とりあえず、「クズがあああ」にはびびりましたがw

唯湖ルートに入った後の、
リトバスメンバーの協力とかがなんか良かったですねぇ。
恭介も、鈴も、真人も、謙吾も、皆バカで、すごくいいやつです。

この時点では、世界構造よりも、
唯湖がなんらかのイレギュラーな能力を持ってて、
6月20日を繰り返していたのかと勘ぐっていました。

まあ、事実は「個別ルートなんかなかった」わけですが。

全ルート制覇後は、理樹の名前を思い出すEND2が追加。
とは言え、やっぱり良くわからないんですが。。。
私の理解不足なのはわかってるので、考察の余地有りです。






神北 小毬



初期メンバー以外では一番活躍の多い小毬。ある意味お色気担当。
シナリオは現実逃避系のよくあるお話。
兄貴が勝平に似てるのがちょいと気に入らなかった理由なのか。
あと、私服があ り え な い。

過去のKeyのシナリオ、佳乃やことみシナリオを思い出しました。
妹のことを思ってついた嘘や、
理樹が絵本を作るところなんかがそう感じられましたね。

まあ、無難な出来ではありました。

それよりも、小毬シナリオは、
鈴、Refrainルートへの伏線が結構あったところが驚きです。
流れ星は、死に近づいているリトルバスターズのことを指していたんですね。





三枝 葉留佳



騒がしい系の変なツインテール娘。
正直立ち絵は最初見たとき、変だと思ってしまいました。
すぐに慣れましたが・・・。

クラナドの杏シナリオ同じく、双子ものです。
今回は三角関係ではありませんでしたが、
またまたKeyらしくないシナリオでした。

今回の入れ替わりも何故かしばらく気付かなかった私。
入れ替わる必要性が感じられなかったせいもあるかも。

佳奈多がそこまで葉留佳を苦しめる動機が
わからなかったことが原因ですかね。

ラストでは、どちらがどちらなのかを知ろうとせず、
世界に悪意がないことを確認した葉留佳と
佳奈多が仲直りして終わりです。

実際、最後までピンとこなかったわけですが、
このシナリオも全ルート・・・というか
エピローグ後には違った印象になります。

結局は虚構世界での出来事だったわけですから、
佳奈多が必要以上に葉留佳を嫌う理由もわかります。
葉留佳は自己嫌悪していましたから。

現実に戻った後も、同じように佳奈多と
仲直りしていたようですし、現実世界での葉留佳と佳奈多は、
それほどお互いを嫌う関係にはないんじゃないでしょうかね。

まあ、なんにせよおやまの三枝や二木の家は、
下衆ばかり見たいですが。
杉並さんの友達×2とツートップの悪役ですね。




西園 美魚



これもある意味双子シナリオ。
美鳥はむしろドッペルゲンガーに近い存在なんだと思いますが。
来ヶ谷シナリオに次ぐ判り難さです。。。

ですが、個人的には、このライターさんの文章嫌いじゃないですね。
純文学的なテーマを背負ったシナリオです。
たしか智代アフターの前半部に携わった、
樫田レオさんだと思いましたが、
智代アフターの頃に比べ洗練されてる印象がありました。

クロスチャンネルを彷彿とさせるようなテーマでしたね〜。
人はどこまでいっても孤独だけども云々ってやつです。

若山牧水の短歌を上手く使って、
良くまとまっているシナリオだとは思いましたが・・・。

どうにもオチだけよくわかりませんでした。。。
海の中へダイブすることで美魚=白鳥の影に触れ、
美魚と美鳥が一つになったという流れだったと思いますが、
なんであれで、美魚が心変わりしたのかが不明。
美鳥の説得の方が効果があったようにも思えるし。
理樹の行動によって、美魚が救われたって感じが
しなかったのがにんともかんとも。。。

まあ、そもそも理樹が美魚のことを忘れなかったことが、
この結末に繋がったわけですので、別にいいんですけどね。
むしろ美鳥を味方につけた理樹のひたむきさが勝因か?


このシナリオも、虚構世界であるからこそ、
実現された、美鳥の顕在化だったんですね。
美魚は虚構世界のシステムを利用して、
過去の自分の贖罪と願いを叶えようとした、と。





能美 クドリャフカ



小犬系ヒロイン。
可愛さならヒロインズの中でダントツです。
バカップルぶりでも随一か?
とにかくクドルートに入った後は、
甘々のイチャイチャモードでしたねw

反面、後半では突如、祖国でのクーデターにより、
帰国することになってしまうクド。

クドルート直後では、シナリオ展開事態は把握できたものの、
最後の奇跡の意味や、ロケットの破片の意味、
さらにはロシア語の「永遠にさようなら」の意味など、
サパーリ判らないことが多すぎました。
クドの「助けて助けて」の悲痛な叫びには心を痛めましたが。。。
なんでクドがあんな目に遭わなきゃならんのか、
このシナリオライターはドSなのかと勘ぐっていましたw

虚構世界であることがわかってからは、
納得できましたけどね。

明確になったわけではないですが、クドの母親に関しては、
死んだと誤報されていたが、実は生きていたってことで、FAだと思います。

現実での修学旅行の前、ロケット打ち上げ失敗により、
祖国で発生したクーデターに巻き込まれた母親に会いに行かず、
その後、母親が死んだという知らせ(誤報?)により、
トラウマを抱えてしまったクド。

クドルート終盤での、冷たい水の中、
鎖に繋がれたクドは、自らの贖罪のために、
クド自身がイメージした姿だったのでしょうね。
あのロケットの破片は母親の遺品として渡されたものだったのかな?

クドが現実世界で帰国を拒否したのは、
やっぱりリキと離れたくないって思いが強かったのでしょうから、
ループ以前から理樹のことを好きだったのは、クドリャフカだけだったのかも。
そうするとかなり健気なキャラでしたね〜。


このシナリオも含めて、今作は、全ルート制覇前と後では、
えらく印象がかわるシナリオが多いです。
印象が変わるというよりは、よくわからないシナリオが多いのですが・・・。





リフレイン〜鈴〜エピローグ



リトルバスターズ、最後にしてメインのシナリオ。
全てはこのシナリオに収束します。
いままでの全てのルートは、パラレルワールドではなく、
同じ時系列で起こったこと。
全ては鈴と、理樹を成長させるために。

正直このルートをプレイするまでは、
並の良作止まりの評価だったんですが、
流石は麻枝氏入魂シナリオだけあって、
泣かせ度はかなり高いです。

恭介が作った虚構世界。
その世界構造に気付くのはかなり遅れてしまいました。

どこかで見たような鈴との逃避行。
この結末がトラウマとなった鈴は心を閉ざし、
リトルバスターズは解散してしまいます。


理樹と鈴だけになってしまった、リトルバスターズ。
けれど、理樹は恭介の代わりにリトルバスターズを、
自らの力で再結成することを誓います。

そして真人、謙吾が加わって、最後に恭介に手を差し伸べる理樹。
その手はかつての恭介のように。あるいはそれ以上に力強い手でした。

そして語られる「虚構世界」の構造と、
「現実世界」で起こったこと。





10人のリトルバスターズを含めた、
修学旅行バスは事故により崖下に転落します。
乗員も生徒も全員意識を失った中で、
恭介は、自分と仲間達に訪れる死を悟り、
せめて鈴と理樹だけでも助けたいと考えます。

しかし、今のままの理樹と鈴では、
仲間を失った悲しみに耐え切れず、生きてゆくことが出来ない。
そう考えた恭介は、7人の仲間と協力し、
理樹と鈴を成長させるための虚構世界を作り上げます。

虚構世界の中で、各ヒロインのトラウマを解消し、成長した理樹。
友達とも気兼ねなく接することが出来るようになった鈴。
2人の成長を見届けた真人、謙吾、恭介は、
それぞれ2人に別れを告げます。




この時の恭介の本音の叫びがかなりキます。
というか、この現実で起こったことが明らかになってからは、
涙腺緩みっぱなしです。
私は当初、真人、謙吾、恭介の3人が命を
落としてしまったのかと考えていましたが、
理樹と鈴以外全員だったとは。。。
まあバスが爆発したんですから、
逃げ遅れれば死んでしまうのは当たり前でしたね・・・。

そして目覚めたのは、バスの外。
修学旅行の転落事故直後。
まともに動けるのは理樹と鈴の二人だけ。

理樹は恭介の言う通り、断腸の思いで、
鈴を連れその場を離れます。

安全な場所まで走り続けた後、
理樹は持病のナルコレプシーによって、意識を失います。
もしもあのまま仲間達を助けに行っていたら、
ガス爆発に巻き込まれていました。

病院のベッドで目覚める理樹。傍らには鈴の姿が。
鈴をずっと守って生きてゆくことを決意する理樹と、
理樹と一緒ならばこの先生きてゆけるだろうと思う鈴。

鈴の気持ちは変わらない。現実でも同じようになるはず。
恭介が語ります。

つまりは、この鈴ENDも現実ではなく、
最後の虚構世界での出来事だったんですね。
恭介がシミュレーションさせたんでしょうか?



けれどこの結末に「よくない」と答える理樹。
みんながいない。

みんなを救うためには、ナルコレプシーを克服すること。
その原因は幼い頃に両親を無くした記憶。
それは生まれることを否定する程の深い悲しみでした。

それでも、出会いたい人がいる。
別れる悲しみよりも、素晴らしい出会いが待ってることを知っている。
それを虚構世界のループの中で、悟った理樹は、
ナルコレプシーを克服し、本当の現実へ帰還します。


成長した理樹と鈴の働きにより、
最悪のバス転落事故は、一人の死者も出すことなく、
処理されました。





時は過ぎ、2学期。

謙吾も退院し、残るは恭介を残すのみ。
今のままでも楽しいけれど、恭介がいないと半減してしまう。
そんなリトルバスターズの前に、ついに恭介が帰還します。

なんでも退院が遅れたのは、自動車の教習所に通っていたからだとのこと。

そして恭介からの提案。


もう一度、みんなで修学旅行へ行こう。






スタッフロールは恭介の運転するワゴンに、
リトルバスターズ全員が乗って海に向かう
ムービーと共に流れます。

いや、ぶっちゃけ大したムービーではないのですが(ぉ
これがいいんですなあ・・・。意味も無く泣き。
もうこの10人みんな好き。
やっぱりこの作品のテーマって、第一に「仲間との絆」なんでしょうねえ。
鈴と二人、生き延びた結末に満足しなかった理樹。

それはある意味二人でも生きてゆける強さを得た理樹に、
残っていた弱さだったのかも知れませんが、
誰だってあんな仲間と別れるのなんか認めたくありませんよ。



別れの際の謙吾の
「こんな仲間達に出逢えて、幸せじゃなかったなんていえない」
なんていうベタな台詞がめちゃくちゃ、
いや、もーくちゃくちゃ泣けるのも10人のリトルバスターズがいて
なんぼのもんですからね。
私だってずっと見てたいよっ!って思いましたからw





結構新しい感覚だったんですよね、あのエンディングって。

いままでのKeyは良くも悪くも、
それぞれのヒロインの物語は奇跡やらなんやらで、
ハッピーエンドで終わるってのが基本でした。
ですがそこにある笑顔は主人公が選んだヒロインのみで、
じゃあ、選ばなかったヒロインはどうなるのか?



Kanonが一番わかりやすいですが、
あゆと栞、本当は二人とも救うなんてこと出来ないはずです。
他のヒロインを選んだ時、
舞はいつまでも子供のまま魔物と戦い続け、
名雪は7年前のトラウマを引きずり続け、
真琴は、そのささやかな願いすら叶えることが出来ず野に還っていく。
誰かのハッピーエンドは誰かのバッドエンドに繋がってたんですよね。


それを破ったのが、クラナドのことみシナリオだと思っていました。
奇しくも既にKeyにない涼元氏の描いたシナリオでしたが、
このシナリオでは、ことみはもちろんのこと、
渚も、杏も、椋も幸せだったはずです。
仲良しの友達に笑顔が戻って、バイオリンも元通りになった。
当時の私は、それをKeyの新しい風だと感じていました。

ですが、ことみシナリオにおいても、結局、風子は?智代は?
渚の病気は?など、考えてしまえば、バッドエンドの種は残っており、
やはり完全なハッピーエンドではありませんでした。



そもそもこういう恋愛ADVでは、主人公が選択した行動によりヒロインが決定され、
問題を解決して、結ばれてハッピーエンドというのが基本的な流れであり、
全員がハッピーエンドなんて最初からありえません。
むしろ当たり前なわけですね。選ばなかったヒロインのその後を考えること自体無意味。

近年ではひぐらしなどが、ほぼ完全なハッピーエンドを、
演出したと思っています。あれも特殊な世界構造ゆえですが。




ですが、その「完全なハッピーエンド」ってのを、
泣きの王道Keyが、麻枝氏が初めて描くわけですよ。
そこへ帰結するためのシナリオを引っ提げて、
そして最後にユーザーに見せてくれるわけです。
リトルバスターズ全員が楽しそうで、幸せな姿を。

もうこのゲームは修学旅行前に撮った、集合写真の笑顔が、
全てを物語っているといっても過言ではないと思います。



ん〜なんていうんですかね。
やっぱり、みんな幸せで良かったねっていう感動って、
後腐れもなくすごく爽快感があります。

そういう意味で、この作品は、よく出来た作品というより、
「好き」な作品なんですよねぇ〜。

残念ながら、今作で、麻枝氏はライター業を引退されると
いうことですが、最後に相応しいハッピーエンドを
届けてくれました。




そういえば、みんな現実の世界では、
虚構世界の出来事は殆ど忘れてしまっているようですが、
断片的に記憶が残っているようにも見えます。
ヒロインは全員、虚構世界の中で、
一度は理樹とくっついているわけですし、
実はトゥルーエンドってハーレムエンドなのかっ!?



私としては、あの後のアフターストーリーが是非見たいところです。
まあ大した話にならないのはわかってますが、
リトルバスターズみんなが好きなんで、
FanDiskなんて作ってくれないかなあ・・・。
ゆるゆるな日常をただ垂れ流してくれるだけでいいんですが。。。





総評



制作期間がクラナド程長くなかったためか、
ボリュームは多少少なかったように感じましたが、
普通のゲームと比較すればむしろ長いくらいですので、
十分かと思います。

シナリオは、正直鈴以外の個別ルートだけだったら、
日常会話の楽しさを含めても、普通の良作止まりの作品だったと思います。
今回、鈴とRefrainルート以外は、
麻枝氏以外のライターさんが書いてたみたいですが、
やはり少々落差を感じてしまいました。
恐ろしきは麻枝氏の才能なのかもしれませんが・・・。

鈴ルート以降については、Key全作品中でも屈指の出来。
「Little Busters」からはボロ泣きでした。
元々友情系の話にも弱い私としては、
好きっていう意味ではクラナドよりも好きかも知れません。





キャラはやっぱりギャグ面で真人、
シナリオ面では恭介が良かったですねえ。
真人にはホントに笑わせてもらえました。
筋肉ルートはもちろん、ゴッサムとか、
しっぽりむふふとか、数えればきりがない。。。
春原に並ぶギャグキャラでしたw
一見ただの筋肉バカに見えてますが、
実は、誰よりも冷静に理樹と鈴の成長を見守り続けていた、
漢でもあります。


恭介はグリーンリバー氏の演技にK.O.。
最後に主人公に助けられるというある意味メインヒロインw
棗恭介風来記はガキの使いみたいで、多いに笑わせてもらいました。
ただ、「爆死!」は後から考えると洒落になってない・・・w


謙吾も最初は冷たい男なのかと思っていたら、
怪我したとたんにヒートアップ!w
意外と激情家で子供っぽい面も持ち合わせていたんですねえ。。。
姉御が、真人と謙吾を馬鹿二人と称していたのが、
最初ピンと来なかったんですけど、やはり謙吾も最高の馬鹿でしたw
覚醒後は、真人すら突っ込み役にしてましたからねw



ヒロインズの中では、なんだかんだで鈴かなあ、やっぱり。
猫好きですし。後はクド、唯湖あたりも気に入ってます。
まあ、はるちんも美魚っちもコマリマックスもみんな好きですけどねっ!
させ子も佳奈多もあーちゃん先輩も杉並さんもみんな好きだ。



というわけで、完成度ではクラナドやAirには及びませんが、
流石はKeyの作品だ、と言わしめるものを持った作品でした。




次回作は、麻枝氏は監修という立場でしか、
関わらないようですが、果たして・・・。