こなたよりかなたまで


F&Cよりこなたよりかなたまでです。

プレイしたきっかけは・・・、神樹の館プレイまでのつなぎとして(オ
まあ、感動するという話も聞いてたのもありますね。

全体的なボリュームは少なく、その気になれば、
1日でオールコンプリートできます。
ですが、短いながらも、綺麗にまとまっていると思いました。


このゲームのテーマ、「生きること」ですが、
主人公の背負うモノが重い。重すぎる。
末期がんで余命3ヶ月という、「僕の生きる道」な話なんですが、
主人公・彼方が・・なんつーか、すごい。
ものすごい達観してるんですよね。日々笑って過ごしています。


・・・ぶっちゃけ、主人公がすごすぎて、感情移入出来ないところはあるかも知れません。
ああ、僕には真似出来ないな、みたいな。


音楽。
OP、EDにはI'veSoundを使用。どちらも素晴らしいですね。
やはりEDテーマ「こなたよりかなたまで」がイチオシですが。
BGMも、なかなか好印象。
作品の雰囲気に合うってのは大事だと思います。


グラフィック。
んー、ここについては・・・否定的にならざるを得ないかも。
低価格がウリってのはわかりますが、
流石に、立ち絵、イベントCGともに少なすぎな感じはしちゃいます。
プレイ時間が短いといっても、もうちょっと欲しかったかと・・・。


で、シナリオ。

個人的には、佳苗、クリストゥルーが良かったですね。
クリスノーマルも良かったんですけど、
彼方が、エンゲージを拒否する理由が・・・なんかなー。

いや、捨てたくないとか今までの自分を否定するとかはわかるんですけど、
その答えは、クリストゥルーで出てるように、
何も捨てず、危ないなら護ればいいわけで。
ぶっちゃけエンゲージしちゃえ!しちゃえ!とか思ってましたし(笑

まあ、めっさ感動したんですけど・・・。
エンディングとしてはこれ以上ないくらい美しい終わり方で、一番好きです。



ただ、クリスノーマルに限ったことではないですが、正味な話、
このゲーム、もっと泣かせようと思えば、いくらでも泣かせられると思うんですよね。
主人公と、ヒロインの別れの瞬間なんかを描かれてたら、
ベタベタだろーが、なんだろーが、絶対号泣してたでしょう。

しかし、あえてそういう描写を端折ったところが、これの魅力ともいえる気がします。
端折ったおかげで、とんでもなく重いテーマの割にプレイし終わったあと、暖かい気持ちになります。
普通、このテーマだったら、確実に鬱になりますもん。
そういう意味では、もっと泣きたかったような、これで良かったような複雑な気分です。



佳苗シナリオでも、ラストは端折られていますが、
あのシナリオは、彼方の真実を知らされた、佳苗のリアクションが全てでしょう。
それは、秘密にされていたことに対しての憤怒でもなく、
もう長くないということへの、悲哀でも同情でもなく、
優しすぎるから、冷たく出来る人への、深い愛情。


あのエンディングのあと、どうなったのかはわかりませんが、
きっと二人とも後悔だけはしなかったんだろうな、と思います。


総評的なもんとしましては、ボリュームの不足、描写の欠如などを
悪いところとしてとるかどうかで変わってきますが・・・。


個人的には、このゲーム、かなりお気に入りです。
末期がんという重いテーマを背負いながらも、
人間の強さや、不器用な優しさなどをメインとして表現し、
プレイ終了後に鬱にさせないような構成にしている手腕は見事だと思います。