あえかなる世界の終わりに


キャラメルBoxよりあえかなる世界の終わりにです。

最近割りとよく聞くメーカーさんですが、
プレイするのは初めてでした。

グラフィック面としては、割と安定したレベルを保っていたように思います。
キャラクターデザインも、この界隈ではよく見る絵柄ですし、
平均水準はクリアしている感じです。

BGMは、OPテーマ「ECHO」は割りとお気に入り。
といっても聞く機会はあんまりなかったりしますが・・・。
オープニングムービーまでが、結構長いですからね〜。
その他BGMはまあ無難な出来ですか。
特に印象に残った曲はないですが、
その場その場の雰囲気はちゃんと出していたので及第点かと。


んで、シナリオです。

基本的には、未来SF物。
地上に住めなくなった人類は、地下に作られたセドナで暮らすようになった。
その世界では、LOSというネットワークシステムと、
NAIPと呼ばれる人工知能により、
あらゆる作業が人の手を使わずに、行うことが可能となっています。

と、未来物としては割と有り触れた設定。
目新しさはありませんが、現在の人間から、
推測できる未来としては、許容範囲ではないでしょうかね。
世界設定の細かいところは、特に説明されませんが、
割とよく考えられていたと思います。

ん〜話自体は、広がりすぎず良いバランスのとこだったと思いますが・・・。
やはり共通ルートの多さは少し気になります。
基本的にリップル中心で、あとはひまわり、柚子、と
段々シナリオに変化が無くなっていきますw

私的には共通ルートが多いというそのものは、いいんですが、
申し訳程度についている各ヒロインのエンディングはなんだかなあ・・・と。
それだったらいっそ無くしてしまった方が・・・という気になってしまいます。
特にナギなんかは、目立った描写もなく、
スタッフロール後、いつの間にか結ばれているというのは流石に・・・。

あくまでリップルのシナリオということであれば、
シナリオは中々の出来。
長さもかなりあり、30時間弱ぐらいかかります。
何せオープニングムービーまでが長いですからねえ・・・。

冒頭のCQショットから、学園物、
ストーカー対策、ジャックとの死闘。
そこからは、いわゆる「あちら側の世界」の話に、と
かなり盛り沢山です。
シナリオ的な波、山場も多く用意されています。
しかしなんというか、シナリオライターさんの癖なのか、
私的な問題なのかわかりませんが、
どうにも山場での盛り上がりに欠ける印象があるんですよねえ〜。

本来ならば、ジャックとの死闘や、
キング、吉住との戦いは燃えて然るべきなわけなんですが、
いまいちだったように思えます・・・。
あと男性キャラのボイスがないのもちょっと気になったかな?
アーティストなんかは、役どころの重要さも含めて、
ボイスが欲しかったですねえ。

前半の学園編と、後半のあちら側編では、
キャラが入れ替わってしまうのも勿体無い気がします。
まあ、日常と非日常を端的に表すのには、効果的だったとは思いますが・・。

後はラストの「鍵」の問題。
みなもの夢、TD社の思惑、そのどちらも否定し、
鍵を捨てるのが主人公の選択だったわけですが、
ラストでは、その辺りが有耶無耶になってしまった感がありました。
これだけ大掛かりなシナリオだった訳ですから、
LOSとNAIPによる、セドナの世界に対する、
何らかの方向性を示してから幕を閉じて欲しかった気もしますねえ。。。

というように全体的に、惜しい作品だったと思います。
名作になれる要素は持っていたと思うんですが・・・。
何か一つ足りないような・・そんな印象の作品でした。

ただ、リップルのキャラが気に入った人はプレイするべきかと。
ほぼリップルによるリップルのためのシナリオですのでw

というわけで、良作認定。凡作以上の出来ではあります。